「………」



どういう訳か洞窟なのに、灯りが既に設置されていて、勝手に付いた。



「洞窟って普通は暗いよね?」



「まあな、多分そういうふうにしてんだろ」



「そっかあ、そうだね」



仕組みは分からないけど、管理されているって事だろう。



「洞窟でラブメーカーが上がる展開ってどういうものだと思う?」



「えっうーん、なんだろうね」



洞窟でラブメーカーが上がる展開ってどういうのか考えが付かない。



「うーん、わかんないな」



「だよなー」



(変なのじゃなければいいんだけどなー)




その後も進んでいくが、特に何かがある訳もなく、ただただ進んでいった。



「何も起こらないね…」



「うーん…だな」



武器も特に変わる事もない。



もしかして…このまま終わる?



いや、それはないか。



「?」



(あれ? 何か…)



「なんか来てるな」



「そうだね…」



やっぱりそうだった。



微かだけど、何かが近付いてくる音が聞こえてきている。



何なのかは分からないけど。



(どこから?)



近付いてくる音に警戒しながら進んでいくと、それは突然現れた。



「うううっっ!!??…きっ気持ち悪いーっ」



私は思いかげずに暁さんの背中に隠れるかのように、ぎゅっと服を掴んだ。



「!」



急に暁さんの服を掴んだのか、彼は少しびっくりした顔をしていた。



「なななっ何あれ!?」



「あー巨大蜘蛛だな」



突然現れたのは私以上にデカすぎる巨大な蜘蛛だった。



ファンタジーアニメとかで出てきそうな巨大蜘蛛は、現実になると、それはそれは気持ち悪かった。



色んな意味で生理的に無理だった。



「確かにきめーな」



「………」



こういうのも見慣れているのだろうか。



びっくりする程に冷静だった。



「あの…こういうのもよく出るの?」



「たまにねー。もうさ、メルヘンじゃないのよ。
めちゃくちゃだし、ファンタジーぽいし。わけわからん」



「………」



うん、確かに恋愛エピソードという割にはファンタジー要素が強めだ。



メルヘンの要素がどこにもない。



あるとしたら、雰囲気だ。