時には優しく…微笑みを

課長と食事した次の日、目覚めは最悪だった。
うーん、頭が痛い。
緊張してて、飲みすぎた事に気が付かないなんて、最悪。
頭が痛い…

仕事行かなきゃならないし…
しかも、課長からウチに来るか?と言われ。
女として誘ったんじゃなくて、困ってるから、だと。
嬉しいような、悲しいような…

女としてみて欲しかった?
いやいや、そうじゃない。
違うよね。
うん、そう。違う。

「何頭振ってんだ?大丈夫か?」

「え?あ、いや…だ、大丈夫です。お、おはようございます」

「…お、おはよう」

目の前に菅野課長が立っていた。

び、ビックリした。
一人百面相してたのを、見られたんだろう。課長も笑いをこらえて営業部に入って行った。

はぁ、変わったやつだと思われてたな、きっと。

昼休み、食堂に行こうとした私は課長に呼ばれた。

「櫻井、ちょっといいか?」

「は、はい。なにかありました?」

「この書類まとめてほしいんだが、休憩ずらせるか?」

「あ、大丈夫です。すぐにやります」

「…いつも悪いな、助かるよ」

私が書類を作成している間、課長は休憩に行かなかった。

15分ほどして、頼まれた書類が出来上がった。

「課長、終わりました。これでいいですか?」

課長の元に、出来上がった書類を持って行き確認してもらった。
課長は、うんうんと頷きながら、顔を上げた。

「やっぱり、櫻井だな。助かったよ、ありがとう。じゃ、行くか?」

「いえいえ、これぐらいならもう慣れましたよ。…え?どこへ?」

「メシだよ。メシ。腹減っただろ?ご馳走するよ、はい、行くぞ」

「へ?は、はい」

財布だけ持って、慌てて課長の後を追った。