何よりも残酷な形で知ってしまった、自分自身の気持ち。
知らなきゃ、憧れだけですんだのに…
人は時には残酷だ。
「課長、私なら大丈夫です。私が彼女なんかになったら、課長が誰かを好きになった時に困るじゃないですか?心配かけてすみません。ここに住んでるだけでも迷惑をかけてるのに、これ以上は無理ですよ。この場所は、その人にちゃんと空けておいて下さいね」
私はそう言うと、課長の腕から逃れた。
「…っ、そうか…あまり無理するなよ?」
「はい。大丈夫です。もう大丈夫なんで、自分の部屋で寝ますね?お休みなさい」
私はそう言って、自分の部屋へと逃げた。
泣きそう…だったから。
そう。
あの腕の中は、私がいちゃダメな場所。
課長が好きになった人がいるべき場所なんだ。私がいつまでもいていい場所じゃない。
思えば思う程、涙が溢れ出てきていた。
「こんな気持ち知りたくなかったよ…うっ…」
枕に顔を押し当て、声が外に漏れないように私は泣き続けた。


