時には優しく…微笑みを

「ね、と、朋香!あれが菅野課長なの?」

「え?あ、う、うん。そうだよ…」

完全OFFモードだな、あれは。
七海が発狂するのも分かるな…

会社でみるスーツ姿ではなく、チェスターコートにニット、スキニーパンツを合わせていた。誰が見ても惚れるよ。うん。王道だもの…あの格好。

課長が入ってきてから、店内にいた女性陣が、こそこそと話をし始めた。

「カッコイイ、連れがいるのかな…」

確かにモテるよ。あれじゃ。

そして、課長は私を見つけた。

「櫻井!」

私の名前を呼びながら、テーブルまでやってきた。

「朋香、来たよ。課長がこっちに来たよ!!」

「う、うん」

七海のテンションも上がってきた。
やっぱり課長は凄い。
うん、カッコイイんだもん。
みんなの目を引くよ。だから私も気になるんだ、そうなんだ。きっと、そう。気になるのは仕方ないことなんだよ。

「ちゃんと待ってたな、先に帰ってるかと思ったけどな…」

急いで来たのか、お風呂上がりのシャンプーの匂いがしていた。