時には優しく…微笑みを

「もう、大丈夫か?」

「…はい、すみませんでした」

少し気分が落ち着いた私は、課長の腕からも解放された。
課長は優しい。
自分のせいで私が、巻き込まれたと思っている。
だから、私に気をつかって心配をしてくれているんだろう。

「課長も大丈夫ですか?」

「っ、ん?なんでだ?」

「顔色悪いですよ。あまり思い出したくないんじゃ…」

「分かるか…隠してはいるんだがな…。ま、櫻井がいてくれるから大丈夫だよ。心配するな」

そう言うと、私の髪の毛をクシャっとして、笑いながら資料室から出て行った。

私がいるから大丈夫…
そんな言い方されたら、期待してしまう。
もしかしたら?と。

課長。
優しすぎるのは罪ですよ。

課長が、出て行った扉に向かって私は呟いていた。