時には優しく…微笑みを

「あ、分かりました。資料室に行ってきます」

私は頭を下げて、資料室の鍵を持って営業部を出た。
あの時、彩奈さんに顔を見られた私を課長は庇ってくれたのかもしれない。
昨日、諒太さんが言っていた事が、この事なんだとやっと分かった。

会社にまで来るなんて…

復縁…
やっぱり、そうしたいんだ、と。

だけど、自分から浮気をしておいて今さら何なんだろう…私は資料室で頭をかかえていた。

浮気…
もし、ここに優弥さんがやり直したいと言ってきたら私は喜ぶんだろうか?

ううん、絶対そんな事ない。
あんな別れ方をして、それこそ今さらだ。

「ちょっと優しくしたからって調子に乗んなよ。お前の気持ちは重いんだよ。軽く付き合えればいいだろ?俺は東京に帰るんだ。遠距離?誰がすんだよ、そんなの。分かれよ?もう子供じゃないだろうが!大人の女になったら、まだ抱いてやるよ!」

「優弥、こんなお子ちゃまと付き合ってたの?悪趣味ねぇ。私と比べないでよ」

「んな事しませんよ。ただの暇つぶしだったんですよ。大阪での」

はぁ、っ…苦しい…
また思い出しちゃった…。
優弥さんの事、やっぱり忘れるなんて事出来ないんだろうか。あんな最低な人の事を…

あの時…


女の人と抱き合っている所を見てしまった私は、その場から動けなくなってしまった。
しかも、相手の人からも罵倒された。