時には優しく…微笑みを

「信じられない!いきなり別れるとか!菅野君、仕事で構わないでいきなり別れてくれとかおかしくない?」

彩奈に別れを告げてから、数日して佐々木から呼び出された。

「聞いてるの?諒太に聞いても、彩奈から話聞けって言われるし。いきなり別れよう、って言われて納得出来るの?」

「………佐々木、彩奈から何にも聞いてないのか?」

「え?な、何を?菅野君からいきなり別れてくれって言われとしか」

俺は呆れてものが言えなかった。
自分が悪い事を棚に上げて、佐々木には俺が一方的に悪いと言ったのか。

「…彩奈が自分の部屋で男とヤってるとこ見たんだよ。それ以上に別れの理由がいるのか?問い詰めはしていない、言い訳も聞く気ないし。それが初めてじゃないような言い方を彩奈自身がしてたからな、だから別れようって言ったんだ。後は、そっちでやってくれないか?もう関わりたくないんだ」

「………嘘、本当なの?し、信じられない…。菅野君、それが本当だとしたらごめんなさい!もう行くね」

佐々木は俺に謝ると店を出て行った。

それから諒太を通じて、佐々木が二度と彩奈と関わらないと聞いた。
あの話が本当だったと彩奈から聞かされたらしい。そして、俺が現場を見た事も伝えた上で、二度と俺に関わるなとも言ったらしい。責められず別れてくれと言われただけマシだと思えと。彩奈は構ってくれない俺が悪いんだと言ってたらしいが、佐々木は、それは勝手すぎるよと言ったと聞いた。寂しいからと浮気が許されるのであれば、世の中そんな人ばかりになるじゃないか。そんなことがあっていい訳がない。

そして、俺は女が信じられなくなった。