「っ、だ、誰?」

目が覚めた私の目の前にあったのは、軽く胸元がはだけた大きな身体の胸だった。

思い出してみた。昨日の事を….
確か、課長と帰ってきて、抱きかかえられて、この胸で泣けと言われて…言われた。言われたよ?
って、事は…この前にある身体って、課長…?

ん?

「あ、あ、あ…ぎゃー!」

思いっきり大きな声で叫んでいた。

「…っ、櫻井?どうした?」

私の声に反応した課長が飛び起きた。

「あ、あ、あのすみません。私…」

「あぁ、びっくりするよな。昨日、俺と寝たからな。だけど、心配はいらない。何もしてないから。ただ添い寝しただけだ。よく眠れただろ?」

「はぁ、そ、そうですね」

添い寝って…しかも何もしてないから、って…ん?何かあった方がよかったの、いやいや…
破壊力ありすぎなんだけど…

昨日の私は昔の事を思い出してしまって、涼太さんの所で過呼吸になってしまった。
そして、慌てた涼太さんが、課長を呼び出して、一緒に帰ってきたまではよかったけど、課長が泣きたいとけば泣けばいい、といってくれたんだ。
だから、私は泣いて泣いて…寝たんだ。

「思い出したか?」

課長の声で現実に戻された。