時には優しく…微笑みを

「……あの」

彩奈さんて誰ですか?
出かかった言葉を飲み込んだ。
聞いちゃダメ。

それから、3人で少し飲んでから家に帰った。
課長の家に送ってもらった私は、仲川さんと結子さんに、今日泣いた事は課長には内緒にしてて欲しいと頼んだ。また余計な心配をかけるかもしれないから。
家の事だけでも、余計なのに、これ以上はさすがにまずいと思った。

仲川さん達は、いいよ、私達も泣かせだし、怒られるからね、と笑っていた。

部屋へ入ると課長はまだ帰ってきてなかった。
先にお風呂に入り、課長が帰ってくるのを起きて待っていたけれど、日付が変わっても課長は帰ってこなかった。


気がつくと、朝になっていた。

「…課長帰ってこなかったんだ」

私はソファーで寝てしまってたみたい。仕事に行く時間になろうとしてるのに気がつき、慌てて準備をして部屋を出た。

課長、朝帰りじゃなく、帰ってもこないなんて…
なにかあったんだろうか?
胸騒ぎがしていた。
私は、いつからこんなに課長の事が、気になってるんだろう?仕事では見られない姿を見てるから?触れたから?この時の私は、ただ気になってるだけだと思っていた。


「朋香!おはよう」

「あ、七海おはよう」

「なんか眠そうだけど?」

「あ、少し寝不足かな。昨日寝てないから」

「…夜更かし?それともなんかあったの?」

七海はいつも、確信をついてくる。
洞察力がすごいのか、なんなのか…