時には優しく…微笑みを

仲川さんは2回目、結子さんに至っては初対面なのに、こんな事言うの？って思ったけれど、豪快に泣いてしまった事もあって、一応の説明として少し私の話をした。

「…浮気された事があって…、トラウマ？なんです。軽い人も苦手で…すみません」

「っ、なんで、あなたが謝る事じゃないよ。浮気って、最低な男ね。そりゃ、諒太が言った事はダメよね。彼女いるくせにいないって言った事を言ってるんでしょ？」

「……はい。実際、それ言ってる所を見たんです。だから、思い出してしまって…」

「え？見たの？」

仲川さんもびっくりしたようで、聞き返してきた。

「はい。浮気と言うか、その現場を見ちゃって…」

「り、諒太…」

「……あ、あぁ。一緒じゃないか…」

「……？何がですか？」

私の何が？は聞こえていなかったのか、二人とも黙ってしまった。
言わなきゃよかったかな？

「…朋香ちゃん。ごめんなさいね。古傷を触るなような事をして」

結子さんに謝られてしまった。
逆に気を使ってしまうよ、仲川さんも軽い冗談だったんだから…

「…ごめんな、朋香ちゃん。冗談じゃすまないよな。ほんとごめん」

「いや、あのほんとに大丈夫ですから」

脳裏に、昨日の課長が思い出された。
あの、彩奈さんと呼んだ女の人の事を…
この二人なら知ってるかも？
ううん、人の過去を勝手に詮索なんてしたらダメ…