時には優しく…微笑みを

「あ、あの…私」

「ご、っ誤解するなって、ちょっと冗談で言っただけだろ、拓海の部下に手出す程バカじゃないって」

つねられていた耳をさすりながら、仲川さんは結子と言った女の人に話していた。

「え?菅野の部下?えぇ!彼女じゃないの?」

そう言いながら、そのままイスに座ってしまった。
え?あ、友達はいいのか?
なんて思っていると、またイスから立ち上がって、友達と思えるそのグループの人と話をして戻ってきた。

「話はしてきたから、私ここで食べてもいい?」

「へ?こ、ここですか?」

「ダメなの?いいでしょ?あ、すみませーん。ビール一つ」

「結子、お前なぁ、びっくりしてるだろ。朋香ちゃんが」

「へぇ、朋香ちゃんって言うの?」

話がややこしくなってる。
お願いだから、混乱させないで…

「朋香ちゃん、こいつ、俺の彼女の結子。でもって、俺と一緒で拓海とは同級生。で、結子、彼女は拓海の会社の部下の櫻井朋香さん」

「ど、どうも…って、仲川さん彼女さんいるじゃないですか!冗談でもそんな事言っちゃダメですよ。絶対ダメですよ…っ」

「そうよね?朋香ちゃんの言う通り、冗談でもひどいわよね…って、ど、どうしたの?朋香ちゃん」

「え?あ、朋香ちゃん、どうした?」

私は泣いていた。
封印したはずの私の過去が…思い出されていた。