時には優しく…微笑みを

何度かけても出ない課長に、留守電を入れようとした。

「出ないの?拓海。じゃ、俺からLINE入れといてあげるよ。これなら電話出れなくても、見れるだろうし」

「あ、じゃあ。お願いします」

仲川さんにLINEを入れてもらって、私は仲川さんと食事に行った。

お店に入ろうとした時、仲川さんの携帯に課長から連絡があった。

「おぉ、朋香ちゃん何回か電話入れてたんだぞ?出ないからLINEしたんだ。え?あぁ、今から一緒にご飯食べて、それから送るから。大丈夫だって、じゃあな」

それだけ言うと、電話を切ってしまった。

「拓海、まだ仕事中なんだって。だから遅くならない程度に送れってさ。ほんと過保護だね、あいつ」

「あ、そうだったんですね。仕事中に電話かけて悪かったな…」

電話に出ないのが仕事だと分かって、少しホッとしていた。


お酒を少し飲んだせいもあって、私はいつもよりよく話をしていたかもしれない。

「仲川さん、ちょっと聞いてもいいですか?」

「なに?俺の事?彼女かぁ、うーん。いないよ、俺の彼女になる?」

「いや、あの、そんな事じゃなく…」

「いいって、気にしないで…っ、えぇ!」

「誰が、彼女いないってぇ!諒太!」

え?
目の前に仲川さんの耳をひねって立っている女性がいた。
めちゃくちゃ怒ってるよね…
怖くて目線が合わせられない。

「結子!な、なんでお前…」

「なんで、じゃないわよ。友達とご飯に来て悪い?それより、そこの女誰よ」

こ、怖っ…
頼むよ、仲川さん。巻き込まないで…