時には優しく…微笑みを

「急に呼び出してごめんね、仕事大丈夫だった？」

「はい、急ぎの仕事もなかったんで、定時で上がれたんで、私こそすみません」

「いやいや、拓海から頼まれてるからね。気にしないで、それに困った時はお互い様だよ」

あ、課長と同じ事を仲川さんも言ってる。困った時は、頼りなさい、と。

「…で、拓海との生活どう？」

「え？あ、いや、生活ってもまだ2日ですよ。なんとも…」

「そっか、まぁ拓海だから手は出さないと思ってたけど、そのまんまか。ったく…」

手は出さない、当たり前の事だと思うんだけど…とは言えず、黙って話を聞いていた。

「ま、とりあえず本題ね。これ一応、朋香ちゃんの希望条件を元に出したのがこれ、なかなか全部当てはまるのがなくってね」

これ、と言って出された書類に目を通した。
よくあの短期間で探してくれたな、と言うのが私の本音。
ただ、検索をかけただけじゃなく探してくれた物件の情報を写真付きで、まとめてくれていた。

「あ、あの、これって先に仲川さんが行って撮ってきてくれたんですか？」

「ん？あぁ、そうだよ。ここって内見したい所見つかりやすいようにね。普段はしないけど、直接内見に行ってもらうから。でも、朋香ちゃん急ぐでしょ？そんな時間もないだろうし、これあったら、ここを見たいって決められると思ってさ。ま、特別ね」

ニコっと笑って、優しくウィンクをしてくれる仲川さんに、ときめいてしまった。
恥ずかしくなって、下を向いてしまった。

「朋香ちゃんって、可愛いよね。彼氏いるの？」

「へ？あ、え…」