時には優しく…微笑みを

「ありがとね。でも輝君て優しいよね。彼女の友達にもそんな事言えるなんて、ないよ。なかなかね、羨ましいよ」

日替わりランチのハンバーグを、口に運びながら話していると、七海は急に真剣な表情になった。

「朋香、もしかして引きずってる?あの事」

お箸を持つ手が震えているのが分かった。
あの事…
気にしてないと言ったら嘘になるのかも…

「ううん。そんな事ないよ。もうすぐ2年だよ、そんな訳ないじゃない」

「そう?それならいいんだけど。でも、なんかあったら言ってね」

「ありがとう」


それから私は少し仕事が手につかなかった。

あの事引きずってる?と言われて。

もうすぐ2年になろうとしている、あの事が頭の中を駆け巡っていた。


2年前私は付き合っている人がいた。彼が東京本社に帰る事になって、遠距離恋愛になった。
私が就職で東京に行くから待っていて、と。でも、それは叶わなかった。あっけないものだった。
人の気持ちがこんなにもすぐに変わるものなのか、と。

人なんて、信じない。
好きだ、愛している、そんな言葉を信じてはいけない。
気持ちは変わるもの、そう思った。



「…ちゃん?朋香ちゃん?」

「え?あ、ごめんなさい。考え事してて…」

「大丈夫?顔色悪いけど…いいの?」

「はい、ただの寝不足ですから…」

仕事が終わり、私は会社近くのお店で仲川さんと待ち合わせをしていた。