大阪で久しぶりに家族と過ごした私は、東京に戻る電車の中にいた。

帰る際、兄が駅まで車で送ってくれた。

「一哉兄さんから話聞いてたんや。お前が悪い男に引っかかってるんとちゃうか?ってな。俺より、一哉兄さんの方が心配性やろ?だから、帰ってきたらお前が話聞け!ってしつこいくらいに言われててな。でも、朋香の顔見たら安心したわ。よかったな、いい相手で。安心して連れて来いよ」

「お兄ちゃん…」

大樹兄さんはハンドルを握っていない手で、私の頭をぐしゃぐしゃとした。
小さい頃、何かあると2人で私を守ってくれた兄さん達。
それは、私が成人しても変わる事はなかった。

「うん。ありがと、一哉兄さんのは過保護が過ぎるけどね」

「あれは異常って言うねん」

「あははは」

流れる景色を見ながら、私は思っていた。
拓海さんに会ったら、何から話そう、何を話そう…と。

いつもは長く感じる時間が、今日は短く感じられた。

♪♪♪♪♪♪♪

アナウンスが鳴った。
もうすぐ東京に着く。

私は携帯を取り出して、東京駅で待ってる拓海さんにメッセージを送った。

【後、10分で到着です】