「あのね、彼は東京の人なの。そんなツッコミする家族に、勝てる訳ないやんか。だから、先に来て話したかったん。それぐらい分かってよ!」

「あんたも、向こうに行って一年やのに、なんか東京の人になってしもたんやな」

「なっ…」

母が、いつになくしおらしく話をし始めた。

「兄貴が言ってたけど、お前変わったな」

「っ…」

大樹兄さんにまでそんな事を言われるなんて…

黙っていると、父が静かに話し始めた。

「…まぁ、心配してるだけや。いきなり結婚したい人がいるなんて、言われたらな。それはお前も分かってるやろ?ただそれだけなんや。心配せんでええから、ちゃんと連れて来なさい。分かったな?」

「はい…」

父の言葉に、母も兄も黙って頷いていた。

「…さ、さぁ。ご飯食べよう!朋香、あんたの好きなもんばっかり作ったんやから、いっぱい食べや」

母の言葉で、静かになっていた食卓が一瞬で華やかになった。

その晩、私は大好物がいっぱいの並んだ食事を楽しんだ。

「もうあかん!もう入らん!」

「あんた、食べ過ぎやで。いくら好きやから言うても…」

お腹を押さえながら、もう無理と言ってる私に母が笑った。

「ありがとう、お母さん」

「ちゃんと、連れて来いや。もっとご馳走作って待ってるから」

「うん、ありがと」

それから、私は母と長い夜を過ごした。