実家での久しぶりの食事は、私の付き合っている人の話から始まった。

「それでいつ連れてくるん?」

いきなりの直球が飛んできた。

「うっ…ゴホッ…な、なに急に…」

心の準備もあったもんじゃない。

「何言うてんの。それ話する為に帰ってきたんやろ、な?お父さん」

「ん…まぁな、母さんの言う通りやな。大体の話は一哉から聞いてるけど、いつ連れてくる気や?」

いつも寡黙な父がこんなにも話をするなんて?

「そうや。親父も母さんもそれが気がかりやって昨日からこんなに調子やで。朋香、いつや?俺もその日は会社休むから」

「お兄ちゃんまで!何言うてんの!」

ここに一哉兄さんがいなくてよかった、と思った。
せっかくの久しぶりのお母さんのご飯が、喉を通らなかった。

詰め寄られながら、少しずつ拓海さんの話をした。

「すぐに…挨拶しに来るって言うたんやけど…私が止めたん」

「なんで?」
「なんでや?」

変なところで意見が合ってる我が家族に驚く。

「だからぁ!そんな所があるからやろ!」

「そんな所?」
「どこ?」

私は首を振った。
通じない…この家族には通じないんだ。