時には優しく…微笑みを

カッコいい…
拓海さんに似たその人は、私を見て笑顔で声をかけてきた。

「いらっしゃい。弟の和己です」

「あ、初めまして。お、お付き合いさせてもらっています。櫻井朋香です」

ソファから勢いよく立ち上がった私は、頭が机につくんじゃないかと思うぐらいに頭を下げた。

「ははは、いいよ、そんなにかしこまらなくても。しっかし、兄貴、こんな人どこに隠してたんだよ」

「うるさい。気安く触るなよ!」

拓海さん…触ってませんよ。
よく似た弟さんの和己さんは、拓海さんに妨害されながらも、私にいろいろと質問してきて、私は答えるのに大変だった。



そして、質問責めから解放された私を拓海さんは、腕を掴むと帰るぞと玄関まで引っ張って行った。

「ちょ…ちょっと、拓海さん!帰るんですか?」

「さすがにこれ以上はダメだ。母さんも調子に乗ってきたし、和己がまだなんか話聞き出そうとしてるからな。オヤジ、今日は帰るわ。また、ゆっくり来るから。母さんもいいだろ?」

「そうか?朋香さん、また今度ゆっくり来なさい。待ってるよ」

「えぇ!もう帰えるの?仕方ないわね…朋香さん、また来てね」

「はい!今日はありがとうございました」

頭を下げた私は、ドアを開けて出て行く拓海さんを追いかけた。