「拓海さん…」

付き合ってる、それだけでは諦めないだろうし、会社にバラすぞと言われかねない。
会社自体は社内恋愛が、ダメなわけでもないけれど、神木物産との取引もあるからと、拓海さんが話してくれた。

どこまで、人の人生を狂わせたら気が済むんだろう。

「大丈夫か?朋香」

「私は大丈夫…理不尽過ぎて、怒ってるの…」

拓海さんがいてくれる事や、諒太さん達がいてくれる事が私の強さになってきていた。

もう負けない。

負けてたまるもんか。
今までの倍返しよ。

「やけに強くなったな?」

ニコニコしながら、私の髪を撫でる拓海さんに私は言った。

「元々、私、大阪の生まれですよ?何言うてんねん!ですよ」

拓海さんの前では使った事のない、関西弁で話をすると、目を開いて驚いていたけれど、すぐに、可愛い!と喜ばれてしまった。

関西弁って可愛いのかな?
可愛くはないと思うけれど、目の前の拓海さんはデレデレになってるし…
この姿を七海に見てもらいたい。絶対、そっちの方がレアだわ!って喜ばれるはず、うん。

「また、一人で妄想か?」

「へ?」

一人でまたブツブツ言ってたみたい。

「それが出たら大丈夫だな?明日から大変だぞ。覚悟しろよ?分かったな」

そう言って、私の返事は拓海さんの唇に絡め取られてしまった。