時には優しく…微笑みを

朝、目が覚めると拓海さんはいなかった。

どこに行ったんだろう?

「拓海さん?」

声をかけても返事はなかった。

部屋から出た私は、リビングで人気を感じドアを開けた。

「起きたのか?昨日、何も食べてないだろ?食べれるか?」

拓海さんは、キッチンでご飯を作っていた。
しかも、かなり本格的な朝ご飯を…

「うそ…私よりも手馴れてる…」

「一人暮らし歴は長いからな、料理ぐらい出来て当たり前だろ?さ、座って、食べよう」

こんなたくさんの朝ご飯なんて、何年ぶりだろう。
私は、拓海さんの前に座って、テーブルに並んだ料理に手を出した。

「美味しい…」

「いけるか?よかった。口に合わなかったらどうしようかと思ったよ」

待って、待って!
私よりも上手ってどういう事?
イケメンで優しくて料理が出来る男なんて…
完敗だわ…

どこか一つぐらい欠点があってもいいぐらいなのに…

「朋香?大丈夫か?また妄想か?」

声をかけられて、顔を上げると、考え事をしていた私の目の前に拓海さんの顔があった。

「び、びっくりするじゃないですか!私が勝てる要素がないか考えてたんです」

「勝てる要素?ふっ、何言ってんだよ。朋香自身が俺の弱点だろ。存在自体がお前の勝ちだよ」

だ、だめだ。
拓海さんには勝てそうにない、諦めた私は美味しい朝ご飯を堪能した。