時には優しく…微笑みを

ここ…どこ?

あ、そうだ。
ホームで倒れたんだ、私。

身体を起こそうとした私を制した拓海さんは、駅から病院に運ばれた事を教えてくれた。

「病院から電話があった時は、心臓が止まるかと思ったよ。何があったんだ?」

何があったんだ?
何が…優弥さんに会ったから…なんて言っていいのか。

どう答えていいのか悩んでいた。
きっと、動揺が顔に出ていたのかもしれない。

「とりあえず、帰ろう。社には、送ってくるって言ってあるから。歩けるか?」

私は頷くと、身体を起こし立たせようとしてくれた拓海さんに抱きついた。

「拓海さん…離れないで…」

拓海さんは、人前ではそんな事を言わない私に驚いたようだったけれど、すぐに何かを察してくれたのか、大丈夫、家でゆっくり話を聞くよ。と言ってくれた。

診てくれた先生に、意識が戻ったなら帰っていいですよ、と言われていた私は、拓海さんに抱き抱えられるようにして、マンションへと帰って行った。

車の中で拓海さんは私に何かを聞こうとしなかった。そして、私も何も話さなかった。マンションに帰るまでの時間が長く感じられた。