や、やられた。
課長のその微笑みに…

「……で、どうする?ここにする?今なら空いてるから押さえるよ?」

仲川さんの声で、現実に戻された。
私は考えていた、これならホテルの方がいいのか、でもいつまでなのか分からない。
どうしよう…

「櫻井、もう俺の所でいいだろう?そんな長くもならないだろうし」

「ええ?」

驚いてそれ以上言葉が出ない私に

「お、いいねぇ。拓海決めたか?」

な、何を決めたんだか…

「櫻井どうする?1週間もすれば、諒太がいい物件探してくれるだろう。それまでだと思ったらいいんじゃないか?」

「…それは言えてるね。余計なお金いらないしね」

私が返事をする前に、どんどん話が進んでいた。

「いや、あの…」

「大丈夫だって、拓海は今はフリーだから彼女の存在気にしなくていいから」

「おま、諒太何言ってんだよ、勝手な事言うなよ」

「いたのか?」

「いや、いないけど…チッ」

「あ、あの…」

は、入れない。
会話に入れない。
どうするねーん!
心で突っ込んでいた。

「じゃ早く、櫻井さん、いや朋香ちゃんが気に入るようなマンション探すよ。俺、次の仕事あるから、今日はこれで失礼するよ。またな拓海。朋香ちゃんも大事にしてもらってねー」

嵐のように、仲川さんは手をヒラヒラと振って店を出て行った。

「じゃ、じゃあ、俺ん家に来るか…」

「えー!」