時には優しく…微笑みを

誰か私を呼んだ?
ここで、私を知っているのは、あの人しかいないはず。

ない、それはないと思いながら、私は歩こうとした。

そして私は、肩を叩かれた。

「朋香!朋香だよな?」

「え?」

振り返った私の目の前に、加藤優弥が立っていた。

驚く私に、優弥さんは続けた。

「やっぱり、朋香じゃないか!久しぶりだな。こっちに出てきてたのか」

「あ、お、お久しぶりです。東京で、就職した…ので」

それだけ言うのが、精一杯だった。
どうして、ここ(東京)にいるのか、横浜に行ったって聞いていたのに…

「ふっ、変わらないな。朋香」

そう言うと、優弥さんは私が持っている書類に目をやった。そして、書類に印字されているD&Dの社名を見たようだった。

「なんだ、D&Dに就職したのか?へぇ、そっか。じゃ、また仕事で一緒になるかもな?ご飯でもどう?また連絡するよ」

「え、あ、あの…」

話しかけようとした時、優弥さんは社の人に話しかけられ、またな!と言ってその場から離れていった。

私はその場から少しの間、動けなくなっていた。

はぁ…苦しい。
息が上手く出来なかった。倒れそうになりながら、私は駅に向かった。
なんとかホームに着いた私は、ベンチに倒れるように座り込んだ。