時には優しく…微笑みを

神木物産は、私が勤めているD&Dから電車で4つ離れた駅にある大通りに面したビルに社を構えていた。

ビルの前に来て私は、ビルを見上げた。
ここに来るのも半年振りかな…、最初に課長の補佐に入って、事務処理をしたのがここ神木物産だった。
本当だったら、担当にはなりたくなかった神木物産。

何故なら…ここは忌まわしい記憶の中にある場所だったから…。

私は気を取り直して、神木物産に足を踏み入れた。

受付で、D&Dから来た櫻井だと伝え、藤城課長を呼んでもらった。

5分もすると、エレベーターから藤城課長が降りてきた。

「櫻井さん!久しぶりです。今日はここまで来てもらってすみません。どうしても社を離れられなかったので」

「お久しぶりです。藤城課長、遅くなり申し訳ありません。これが預かってきた書類です。目を通してご意見聞かせていただけますか?」

私は頭を下げ、書類を手渡した。
藤城課長は、私を来客室に案内すると、すぐに手渡した書類に目を通していた。


そして、書類に目を通した藤城課長から、意見をもらった。
そして、その意見をちゃんと拓海さんに伝える為に、私はメモを取った。

時間にして、1時間ぐらいだっただろうか、下まで送ると言う藤城課長に、大丈夫ですから、となんとかなだめて、エレベーターの前で別れた。

終わった、後は社に戻るだけ…そう思っていた。

「…朋香?」

神木物産を出ようとした私は、誰かに呼ばれたような気がした。