時には優しく…微笑みを

「じゃ、俺はそろそろ帰るよ。何かあったら電話して」

それだけ言うと、諒太さんは帰って行った。
拓海さんの部屋から物音が聞こえ、起きたのかと覗きに行くと、暑くなったのか、拓海さんが布団を蹴っていた。

私は側に近寄り、布団をかけ直そうと手を伸ばした。

「っ、ううん…」

目を開けた拓海さんと目が合った。

「朋香?」

「拓海さん、大丈夫で…」

私の大丈夫ですかの声は、抱き寄せられた拓海さんの胸でかき消されていた。

「よかった…いてくれた…」

優しく頭を撫でる手が暖かった。

「拓海さん、大丈夫なんですか?」

私は顔を上げ、額に手を伸ばした。

よかった、熱が下がってる。
結子さんから、もらった薬が効いたんだ。

安心した私のその手を、拓海さんは握った。そして優しくその手にキスをした。

「君がいてくれるなら、熱なんて出ないよ。ゆっくりいこう…側にいてくれるね?」

「はい…私もそばにいたいです」

私達は見つめ合った…そして唇を重ねた。