時には優しく…微笑みを

「拓海さん、本当は自分で食べられるでしょう?」

お粥を口に運びながら、ニコニコしながら食べている拓海さんに向かって言った。

ううん、頭がまだぼーっとするんだよ。と後ろに倒れそうになる拓海さんに、手を貸しながらも我慢出来なくなって鍋を置いてそこから立ち上がろうとした。すると、焦ったのか、その手を握って、頼むからここにいてくれ、とお願いされてしまった。

そんな風にお願いされたら、動けないじゃない。

「ずるいです。拓海さん、そんな風に言われたら行けないじゃないですか」

「どこにも行かないか?」

うんと頷くと全力で抱きしめられてしまった。
今度は私が熱が出そうになっていた。

作ったお粥を全部食べてくれた拓海さんは、私の言う事を聞いてくれて、結子さんからもらった風邪薬を飲んで再び眠りについてくれた。

寝るまで手を握ってて、とありえないお願いまでされてしまったけれど。

本当にあの菅野課長なの?
私は何度も目を擦って、拓海さんを見たけれど、これが素らしい。
恥ずかしくて言えないよね、私は言える自信はないな、と思いながら、その手を握り、ここにいますからと声をかけた。

薬が効いたのか、すぐに寝息が聞こえてきた。
明日には熱も下がるだろう。
私が明日は会社に行こう、拓海さんが休まなくちゃ…

私は眠ったのを確認して、部屋から出て行った。