時には優しく…微笑みを

その瞬間、手を掴まれた。

「と、朋香?」

「拓海さん、大丈夫です…」

大丈夫ですか、と言おうとした私は、掴まれた手を引っ張られて、そのまま拓海さんの腕に抱かれていた。

「拓海さん?熱が…」

「いい…このままで…夢か…朋香がいる」

まだ熱でぼーっとしているのか、拓海さんは夢か…と言いながら、私を抱きしめるその腕の力を強めた。

そして、また目を閉じて寝息を立てて寝てしまった。
私は、その腕からそっと抜け出した。

起きた時に、拓海さんが食べられるようにとおかゆを作ろうとキッチンに立ったけれど、冷蔵庫に何もない事に気がついた私は、拓海さんが寝ている事を確認してから、買い物に出かけた。


買い物を終えて戻ってきた私は、一度拓海さんが寝ている事を確認してから、キッチンに立った。

「ん、いい匂い。美味しそう…」

寝ている拓海さんを確認しようと、部屋に入るとまだ眠っていた。

額に置いてあったタオルを取り、手を当てると、さっきよりも少しだけ熱が下がっているように感じた私は体温計で、熱を測った。

「37.6度か、少し下がったかな…風邪薬飲んでくれたらいいんだけどな」

そう言いながら、パジャマのボタンを閉じようと顔を近づけた。

「朋香?」

目を開けた拓海さんと、目が合った。