時には優しく…微笑みを

「今回は大変だったね。まあ、拓海とは高校の時の同級生だから、変な奴じゃないから安心して。櫻井さんはどんな所希望してるの?」

変な奴じゃないからって、自分で言う?普通。
笑うのを堪えていると、課長がいつもこうなんだと、ボソッと呟いた。
課長の同級生である、仲川諒太さんはさすが不動産屋さんとあって、気さくに話が出来る人だった。私の希望を伝えると、いい所勧められるように探すと言ってくれた。時間がかかるから、その間は何処に住むの?と聞かれてウィークリーマンションの話をした。

「どの辺にするつもり?」

「え?会社近くにしようかと思ってたんですけど」

「うーん…」

仲川さんは、急に考えこんでしまった。

「おい、諒太。なんかあるのか?」

気になった課長も何かと聞いていた。

「今は時期が悪いね。この近辺のウィークリーマンションは空きない状態だよ」

「えー、そんな…」

今日泊まる場所が…

「駅から近い事もあるし、家具付きだから結構埋まる率が高いんだよ。一番近い所で、40分はかかるな…しかも駅からそこ遠いんだよ」

持ってきたパソコンを見ながら、仲川さんは話をしてくれた。
そして、顔をあげた。

「しかしさ、マンション今さらいるの?このまま拓海のとこに住んだらいいのに。同棲ってやつ?もったいなくない?」

「へ?」
「ば、バカ、何言ってるんだ、諒太」