「もしもし、今眠ったわよ。菅野君、何があったの?」

何があったの?
佐々木に聞かれても、俺が知りたいぐらいだ!よ。
櫻井に告白して、櫻井からも好きだと言われて…キスをして…それ以外何もしていない。
何もしていない、と言うには少し語弊があるかもしれないけれど、櫻井の体に触れようとした、その時に突き飛ばされて…

「…野君?聞いてるの?菅野君?」

「あぁ、悪い。言われても、思いつかないよ…」

「そう…、とりあえず一週間は本当に会社休ませるからね。課長さん?よらしくね。それと諒太には帰ってこないで、って言っといてね。おやすみ」

「っ、お、おい!」

切りやがった…
あいつ…まぁ、佐々木に任していたら大丈夫なんだろうが、櫻井が心配だった。櫻井…朋香…

「拓海、お前なんかしたのか?」

「ば、何言ってんだよ!んな訳ねーだろ」

何かって、体に触れる事がダメだったのか?
それって…さ、朋香の傷なのか…

「朋香ちゃんの傷って、お前の傷より深いのかもな…」

諒太の言う通りなのかもしれない。
俺の傷よりも深いんだ、まだ完全に立ち直っていない。

その傷に俺が触れてもいいのか…

どうしたらいいんだ…