「朋香ちゃん…変な事考えてないよね?拓海との事、なかった事にしようと思ってない?」

結子さんの後ろで、諒太さんが核心をついてきた。

「っ、私は…」

言葉に詰まってしまった。
なかった事…出来るのなら、そうしたい。これ以上、結子さんにも迷惑をかけたくない…。

「朋香ちゃん、拓海から聞かなかった?君の事、ずっと前から思ってたって事」

「っ、わ、諒太!バカ!何勝手にバラしてんだ!」

諒太さんに並んで立って話を聞いていた、拓海さんが諒太さんを押さえ込んでいた。

「隠したって、仕方ねーだろ。言えよ!拓海」

「ちょっと!二人とも、今それどころじゃないでしょ!早く出てって!」

結子さんに怒られた諒太さん達は、部屋の外へ出て行った。

改めて私に向き直った結子さんが、静かに話し始めた。

「朋香ちゃん、これから私の家に行こう。私、明日、明後日と休みもらってるから、大丈夫。ゆっくり休もう?ね?」

「そんな、私…」

「いいわね?これは命令よ。看護師として、言うわ。安静が一番よ」


私は頷くしか出来なかった。

課長の顔を見るのが怖かったから…