マリッジリング〜絶対に、渡さない〜

 
『どうした?』

普段となんら変わらない様子で微笑んだ大地に、無性に腹が立ってくる。
どうした?じゃない。


『リュウ君の、ボールのことだけど』

『えっ?』

『あれって…大地も、お金出したの?』


私がそう聞くと、大地は苦笑いを浮かべ口を開いた。


『ん、半分ね。どうしてもボールが欲しいってお願いしてたから、なんか…足長おじさん的な?カンパしちゃった感じっていうか』

『何で?』

『えっ…』

『何で大地がそこまでするの?』


抑えたいのに、抑えられない。


『亜紀、何で怒っ…』

『何でじゃないでしょう?知り合ったばかりのよその子に、物まで買ってあげる必要ある?』


一度あふれた感情は、すぐには止まらなかった。


『そもそも、一緒に来ること自体』

『…ちょっと、亜紀』

『何?予定も狂うし、時間だって』

『わかったって…』

『だいたい、リュウ君もリュウ君ママも普通はちょっと遠慮しない?私だったらーーー』

『いい加減にしろよ!』


ピシャリと張り上げられた声に、思わずビクッと肩がすくんだ。
温厚な性格の大地にしては、珍しく怒ったような声で、正直とても驚いた。