しかし…
歩き出してほんの十数秒しか経っていないところで後ろから無邪気な声が飛んできた。
『わぁ!サッカーボールだぁ!』
リュウ君の、嬉しそうな声だった。
振り返ると、スポーツ用品店の前でリュウ君が完全に立ち止まっている。
『リュウ?行くよ』
リュウ君ママは困った表情を浮かべながらすぐに声をかけた。
『待って!ボール!サッカーボール!』
『今日はボールを見に来たんじゃないの。亜矢ちゃんたちの靴を買いに来たんだから…』
『やだ!ちょっとだけ!』
『…もう、わがままなんだから…』
呆れた様子でそう言ったリュウ君ママは、申し訳なさそうな顔で私の元に駆け寄り、ペコっと頭を下げる。
『すみません亜紀さん。リュウにちょっとだけボール見させたら、すぐ追いかけるんで。先に靴屋さん行っててもらえますか?三階ですよね?』
『あ、うん…』
頷きながら、私がそう答えた直後だった。
『サッカーボール見るの?だったら俺も一緒に付き添うよ。もう買う靴は決まってるし、いいよな?亜紀』
『…えっ?』
大地の想定外の言葉と信じられない展開に、わかりやすく心が動揺する。
『あ…ついて行った方がいい?』
そんなの、聞かなくたって普通はわかるよね?
確認しなきゃ、わからない?
靴のサイズだって実際履いてみなければわかんないし、私一人より自分がいた方がいいってわかるでしょう?
子供は二人いるんだよ?



