マリッジリング〜絶対に、渡さない〜



『いや、怒ってるじゃん』
『だから怒っ…』


大地に睨みをきかせながら言い返そうとした次の瞬間。


『あのっ、ごめんなさい!リュウが余計なことを言ったせいで…』


リュウ君ママは慌てた様子で私たちの間に割って入ってきた。


『本当すいません!』


そしてそう言うと、何故か深く頭を下げている。


私は別に、リュウ君に怒っているわけじゃない。
リュウが余計なことを言った?
一緒に行きたいと純粋に口にした子供の言葉に、苛立つわけないじゃない。

余計なことを言ったのは、自分でしょう?

心ではそう思っているのに、目の前で頭を下げられていると自分の中の良心が痛む。

この人にも、悪気はなかったのかもしれない。

彼女、まだ若いし…。
そう思うと、気付けば口を開いていた。


『や…私が怒ってるのは大地にだから、リュウ君もリュウ君ママも全然関係ないんですよ!だから顔あげて下さい』


私のその言葉に、下げていた頭がゆっくりと上がる。