「座れよ、ここ」
空いた椅子に視線を落とした大地に、掴まれた手を優しく引かれる。
こういう時、改めて思う。
大地は私をちゃんと見てくれているんだなって、感じることができる。
ふとした優しさに、胸が少しキュンとなった。
「いいよ、私は立ち飲みスタイルで大丈夫だから。大地、座ってて」
「いいって、俺適当にソファでも座るし、ご飯の準備も疲れただろ?」
優しくされると、優しくなれる。
思いやりは、比例する。
大切にされていると感じられた瞬間、相手のことをもっともっと大切にしたくなる気がした。
「いいから大地が座ってて」
「あ、じゃあ俺の膝の上座るか?」
「っ!?バ、バカ!何で膝の上!?」
突拍子のない大地の発言に驚いた直後、そこにいるみんなが何故か一斉に笑い声をあげた。
「本当仲良いよなぁ、大地と亜紀ちゃん」
「うんうん!見てるこっちが照れくさくなっちゃう」
「そういやこの壁の飾り付け、亜実と亜矢がしたんだろ?俺、こんなんされたら泣けるわ」
「亜紀がつけてるネックレスは、昨日結婚十周年だったから大ちゃんがサプライズしてくれたらしいよ」
「本当、幸せ家族だよねー!」
賑わうリビングの心地よい空気。
“幸せ家族”と言われたことが嬉しくて、思わず頰がゆるんだ。



