マリッジリング〜絶対に、渡さない〜



「リュウ君ママは、何飲む?」


三人にビールを注ぎ終えると、大地が改めて何を飲むか問いかけてくれた。


「えっと、ワインってありますか?」
「ワイン?あぁ、赤ならあったと思うけど。亜紀、あったよな?ゴルフの景品でもらってきたやつ」


そう聞かれ「うん」と頷いた私はワイングラスと赤ワインをテーブルまで運んだ。


「あ、景子も座って。玲ちゃんもー!子供たちのシチューは私が運ぶから、先座って乾杯してて」


立ったままの景子と子供部屋にいた玲ちゃんに声をかけると、子供たち用のシチュー皿を黙々と運んでいった。


「二十八かー!リリカちゃん、この中では最年少だな」
「てか、リュウ君って何歳?」
「五歳ですよー」


子供たちが仲良く食事を始めたことを確認してリビングに戻ると、そんな会話を聞きながらふと気付く。

我が家のダイニングテーブルは四人掛けのもので、来客時や椅子が足りない時用には、二脚別に折りたたみの椅子がある。

三家族で集まる時は基本的に椅子は六つにしていて、今日ももちろんそうだった。

だけど、席はもう埋まってしまっている。
椅子の代わりになるようなものは…ないなぁ、と、リビングを見渡していたその時だった。


「亜紀」


そう言って立ち上がり私の手を掴んだのは、夫である大地だった。