亜実と亜矢を大切にしてくれているのに。
どうして今、そんなことが頭に浮かんだのかよくわからない。
きっと、こういう光景を見るのが初めてだったからだと思う。
仲の良い三家族の子供たちは皆女の子なせいか、ボール遊びも投げ合ったりする程度でサッカーというものにはあまり興味を示さなかった。
だからこそ、なのかもしれない。
こんなに嬉しそうに大地と遊ぶリュウ君を見ていると、少しだけ胸がきゅうっと痛んだ。
ピーンポーン…。
と、その時だった。
インターホンの音が鳴り、ハッと我に返った私はリビングのモニターを慌てて確認しにいき、そこに映っているリュウ君ママの姿を見ると通話ボタンを押した。
「はい」
「あ、サイトウです。リュウ、迎えに来ました」
「はーい、ちょっと待ってくださいね」
そう返事をして、私はすぐに庭に出た。
大地と遊ぶリュウ君に、ママが迎えに来たよと声をかけると、リュウ君は庭から表玄関に向かって駆けていった。
私も改めて挨拶しておこうと、そのあとを追う。
すると、そんな私の後ろから亜矢たちも一緒についてきていて、表玄関の門を開けるとそこにいたリュウ君のママの周りを囲むように下から見上げていた。
「わぁ!おチビちゃんいっぱいですね」
「まだ、中にも三人いるんですよ」
「そうなんですか!あの、ご無理を言って、すみませんでした」
「いえ、全然!楽しそうに遊んでましたよ」
「本当、ありがとうございました。助かりました、本当に」
リュウ君のママはそう言って腰を折るように頭を下げると、またお礼の言葉を口にする。
「どうも、はじめまして」
するとその直後、背後から聞こえたのは大地の声。
「あ、はじめまして。リュウの母です」
そして二人は、すぐそばでぺこりとお辞儀をし合った。



