マリッジリング〜絶対に、渡さない〜



「わ…本当だ」


庭を覗いてみれば、五歳の亜矢と同い年くらいの男の子が次女チームの輪の中に混ざりボールを蹴っていた。


「あ!この子、さっき話してた子じゃない?玲ちゃんちの隣のアパートに引っ越してきた子」
「そういえば…そうかも!青色の服着てた気がするし」


二人の会話を聞きながら男の子をジッと見ていると、こちらの視線に気付いたのか男の子の顔が私たちの方に向いた。

しかし、目をパチパチさせた男の子は驚いているのか何も言葉を発さない。

数秒の間が空いたのち、庭用のサンダルを履いた私は怖がらせないようにと笑顔を作りながら男の子の元へ近付いた。


「はじめまして。ぼく、お名前は、何ていうの?」


そう問いかけると、少し緊張した様子の男の子はうつむき気味にボソリと言う。


「サイトウ…リュウ」
「リュウ君かー!カッコイイ名前だね」
「…うん」
「リュウ君は、どこから来たの?」
「あっちだよ」


そう言ってリュウ君が指差した先には、我が家の表玄関の門があった。