マリッジリング〜絶対に、渡さない〜



「喜んでもらえた?」


開いたケースの中をジッと見つめていたその時、隣からそう聞かれハッと我に返った。


「本当に出来過ぎてて…びっくりしてる」


そう言いながら、キラキラ輝きを放つネックレスをそっとケースから外した。


「結婚十年目にはそれ買ってやるって約束、ちゃんと守っただろ?」
「うん…。でもこれ、金額はハッキリ覚えてないけどかなり…高かったよね?」


結婚指輪と同じブランドのこのネックレスは、結婚が決まり二人でマリッジリングを選びに行った時に店内のショーケースの中で見つけたものだ。

''十周年の感謝を形に''という紹介メッセージのプレートが目にとまり、私はふざけて大地に言っていた。

「十年後は、これ買ってもーらお!」

結婚指輪を選びに来たのにもう十年後の話かよ、と焦って苦笑いを浮かべていた大地を今でも覚えている。
それから、そこで交わした約束も。

「マリッジリングはシンプルなものがいいよね、毎日つけてくものだし」
「そうだな」
「キラキラしたやつは十年後に大地に買ってもらえるからー」
「おう、買ってもら…って、ええっ?」
「ん?」
「や、買います」
「本当にー?」
「買ってあげられるよう頑張る。約束する」


冗談のつもりで交わした約束だった。
本気でその約束を果たしてもらおうなんて思っていたわけじゃない。

だけどあれから十年経った今。
あの時見ていたネックレスが、目の前でキラキラ輝いている。