マリッジリング〜絶対に、渡さない〜



正直、驚いた。
別にそこまでしなくてもいいんじゃないかと思ってしまった。

でも、不安にさせられたのは紛れもない事実で。
これから先のことを考えたら、きちんと白黒ハッキリさせておいた方がいいとも思った。

躊躇いながらも携帯を受け取った私に対し、その人はちゃんと謝ってくれた。
もう二度と連絡はしないことも約束してくれた。

私は単純な人間だな、と感じた。
苛立っていた心は、謝罪の言葉によってあっという間に落ち着きを取り戻し、電話を終えてしまえば不思議と晴れやかな気分になっていた。


「ごめんね、疑ったりして」


素直に謝る私に対して、大地は首を振りながら言った。


「いや、俺の方こそ本当ごめん。連絡がきてたことも、隠さずに最初から話しておくべきだったのに」
「もういいよ、その話は。スッキリできたし」
「でも、亜紀にフラれるかもって思った瞬間…マジで焦ったし、それだけは嫌だって思ったら、やっと決心がついた」
「決心?」


言葉の意味がわからず首を傾げる私に、真っ直ぐ向き合った大地はやけに真面目な顔で話し始めた。


「付き合って、もう二年だろ?ぶっちゃけ…そろそろ……結婚とかも考えたりしてたんだ」
「えっ…」
「でも、仕事もまだまだ頑張らないといけない時期だし、プロポーズするなら昇格とか決まったタイミングの方がいいのかなって思ったりもしてたけど」


あまりに突然の話で驚いたけれど、私との未来について真剣に考えていてくれたんだと知った瞬間、胸がいっぱいになった。