マリッジリング〜絶対に、渡さない〜



ああ、終わった、と思った。

バカみたいに嫉妬して、勝手に劣等感を抱いて。
キツイ言い方で追い詰めるような女、浮気されていても仕方ないと思った。

だけど大地は、取り乱す私に向かって冷静に言ったのだ。


「電話に出なかったのは悪かった。でも、本当に何もない。よりを戻したいとは言われてたけど、俺、ちゃんと彼女がいるって伝えてたし、やり直す気がないこともきちんと言ってた」
「そんなの…信じられない」


一度抱いた疑念は膨らむばかりで、はいそうですか、なんて簡単には理解出来なかった。


「じゃあ、電話する」
「えっ?」
「今から電話して、もう二度と連絡してこないでくれって言うから」
「…別に、いいよ」
「いや、俺がよくない。大学時代の付き合いとかで、今でも年に一回は顔を合わせることがあったから。周りの空気とか考えたら無視は出来なかったんだけど。よく考えたら、それが間違ってたんだと思う」


大地はそう言いながら携帯を手にすると、本当に目の前で電話をかけはじめて。

よりを戻す気は今後も絶対ない、電話がかかってくるせいで、付き合っている彼女を不安にさせている。
だから今後一切の連絡を断ちたいと伝えてくれた。

そして、いきなり何を思ったのか。

「今、彼女も一緒にいるんだ。不安にさせてしまったこと、謝ってほしい」

そう言って、私に携帯を渡してきた。