「ご、ごめんな?なんか急に」
「ううん、大丈夫」
「あの人、大学の時の先輩でさ」
「うん…」
再び歩き出した私たちの間には、どこかぎこちない空気が流れていた。
考えないようにしても、引っかかる、二つの言葉。
同僚です、と言った大地の言葉。
リホとは正反対という、さっきの女性の言葉。
思い出したくなんてないのに、頭の中で何度も何度もその言葉が繰り返された。
ただの同僚。
こうして会っているのは、きっと気の合う同士としてで。話が合うのは確かだし、一緒にいてラクだし?
それに、リホって誰?
私と正反対って、どんな人?
「あのさ、間宮。俺…」
「ごめん…今日はもうここでいいかな?」
「えっ?」
「ちょっと…余計なこと言っちゃいそうだから今日はもう帰りたい」
頭の中でグルグルすることが口から溢れてきそうで。
それだけ言うと駅に向かっていたはずの方向とは反対に踵を返し私は足早に歩きだした。
でも、その足はすぐに止められてしまった。
大地に後ろから腕を掴まれ、動けなくなったからだ。



