「めちゃくちゃいいじゃん、可愛い。似合ってる」
「…確かに靴は可愛いけど」
やっぱり私には合わない気がして、足元からすぐに目線をそらした。
「立って鏡で見てみれば?」
「いや、いいよ」
「見てみるだけでもいいから」
似合わない。私には必要ない。
心ではそう思っているのに。
見て見るだけならいい?そうだよね?
鏡、見るだけだもんね。
…カラダは正直だ。
戸惑いながらもゆっくりと立ち上がった私は店内にある大きな鏡の前まで進んで。
「モデルみたいじゃん」
「や、お世辞とかいいから」
「お世辞じゃないし。かっこいいよ間宮」
「いや、デカすぎじゃない?でも、工藤ってこうやって見るとやっぱり背高いよね。ヒール履いた私と並んでも工藤の方が高いってわかるもん」
「じゃあ、俺と並んで歩くことには抵抗ないよな?」
「ん?どういう意味?」
「今日はこのままこの靴を履いてデート」
「はっ!?」
おかしな話の流れに、動揺するしかなかった。
「これは俺が買ってやる。このまま履いて行けるようにしてもらうからちょっと待ってて」
「ちょっ、工藤!」
驚きと戸惑い。
その二つしかない私は、慌てて名前を呼んで呼び止めたけれど。
そんな私の声などまるで聞こえていないかのように大地はレジにいた店員さんと話をしていて。
「こちら、紙袋に入れておきますね」
しばらくすると、私が履いてきた靴を手にした店員さんがそう告げて私の靴を持っていってしまうと、その流れに身をまかせるしかなかった。



