マリッジリング〜絶対に、渡さない〜


「ねぇ、大地」
「ん?」
「今日は…その…ありがとね」
「ハハッ、なんだよいきなり改まって」


照れくさそうに笑う大地の横顔。
それを見つめていた私も、自然と笑みがこぼれた。


「大地もサプライズとか出来るんだなぁってちょっとびっくりした」
「そりゃ俺だってサプライズくらい…あ!そうだ。ちょっと待ってて」


言いながら、徐ろに立ち上がった大地は何かを思い出したようにリビングから出て行く。

そして、戻ってきた大地の手元には見覚えのある赤い紙袋がぶら下がっていた。


「はい」


再び隣に座った大地は、ほとんど目を合わせることもなく持っていた紙袋を私の膝の上にそっと置いた。


「えっ、何!?」
「何って……サプライズ、第二弾」


余程恥ずかしいのか、大地は全くこちらに目を向けず、テーブルに置いてあったリモコンを手に取りテレビをつける。

サプライズ、第二弾?


「開けていい?」
「どうぞー」


チャンネルを次々に変えていく大地の隣で、膝の上の紙袋に視線を落とした私は、中から箱を取り出すと数秒それをジッと見つめ口を開いた。


「なんか…出来過ぎてて怖い」
「はっ?なんだよ怖いって」
「だって…」


十年という節目の記念日が、あまりにも思い描いていた理想そのもので。

嬉しくて、幸せ過ぎて。
何故かふと…怖くなったんだ。


「大地、死なないよね?余命半年とか、重い病気じゃないよね?」
「ははっ、勝手に殺そうとすんなよ。病気でもないし死なないし、至って健康ですー」


おどけた顔で笑う大地を見つめ、クスッと笑いながら手にしていた箱をそっと開けた。