『別れた旦那さん、DV男だったのかなぁ…』
『うーん、どうだったんだろうね』
『てか、浮気されるだけでも嫌なのにさー、さらにDVまでってなると、勇太の浮気を許したことがある私でもさすがに無理なんだろうなー』
景子はそう言うと苦笑いを浮かべながらハハッと声を上げる。
勇ちゃんの…浮気…か。
あれはたしか、三年前くらいだったっけ。
景子には出張だと伝えていたのに、実際勇ちゃんは…ラウンジで働く女の子と会っていて。
どういう経緯だったかは忘れたけれど、後日それを知った景子は勇ちゃんと大喧嘩になり、子供たちをつれて一ヶ月近く実家に帰っていた。
あの頃は大変だったな…と、景子の横顔を見ながら思い出す。
『手をあげるような旦那じゃなかっただけ、まだマシだって思わなきゃいけないねー』
『…そうだね』
『まぁ、殴られたら絶対倍返しにするけどね!』
こうして過去を話題にあげ、ネタにして笑ってはいるものの、あの頃の傷跡は決して癒えていないのだと無理して笑ったような景子の笑顔を見て感じる。
した側は、時間と共に忘れてしまうかもしれない。
だけどサレた側は、忘れるわけない。
それがたとえ、一度限りのものだとしても。
景子の心には、きっと今も…勇ちゃんの過ちが深く刻まれてるんだ。



