それからしばらくは美味しいランチを頬張りつつ、隣の声も気にならないほどたわいもない話をして景子と笑い合っていた。
しかし、食事を終えてデザートが運ばれてきた時、ほんの一瞬だけ会話が止まって。
『聞いていいのか迷ってたんだけど、リリカちゃんは何で離婚したの?』
そのタイミングで聞こえてきた玲ちゃんの声に、ダメだと思いながらもつい聞き耳を立てるように反応してしまった。
『あぁ…浮気と、暴力と…みたいな』
『えーっ!?ひどいね。浮気も嫌だけど暴力なんて絶対嫌だよね』
『ねっ。もう…思い出したくないっていうか早く忘れたくて…』
『ご、ごめんね!変なこと聞いて思い出させちゃって。そうだ、ひかり保育園の近くの…』
玲ちゃんは慌てた様子でそう言うと、すぐに話題を切り替えようと話を始める。
『全然、気にしないで』
だけどリュウ君ママはそんな玲ちゃんの声に自らの声を重ねて。
『引越してきてからは、もうほとんど思い出すこともないくらい心が穏やかっていうか…幸せになれそうな気がしてきたから』
そう言うと、何故かこちらに目を向けたような気がした。



