そして、二本の時計の針が重なり合った直後…やっとその時は訪れた。
ガチャと響いた玄関の音にハッと立ち上がった私は、すぐさまリビングを飛び出した。
するとその直後、玄関から倒れこむような体勢で廊下にバタンと寝転んだ大地は靴を履いたまま仰向けになっていて。
『あ!亜紀〜』
慌てて歩み寄った私に気付くとニッと笑って大きな声で私の名を呼んだ。
『ちょっと…静かにしてよ、何時だと思ってるの』
『そうだよな〜何時だって話だ、そうだよな〜!俺だって…思ってたよ俺も帰りたいってね〜、ずっと早く〜帰りたいなぁって、亜紀〜』
真っ赤な顔に、呂律の回らない口調。
明らかに酔っている大地は私を見上げながら両手を広げる。
『何?』
『朝の続き〜』
『ふざけないで、とにかく起きて。こんなところで寝転んでたら亜実たちに笑われるよ?』
『笑われる…ね。本当……の、あの野郎…バカにしやがって…何が約束だよ…』
『えっ?』
『俺だって我慢して我慢して…』
言いながら力尽きたように目を閉じた大地に、たまらずため息が出る。
約束って何?あの野郎って誰?
我慢ってどういうこと?
私だって我慢してた。
言いたいことほとんど我慢して、話をするために待ってた。
『起きてよ』
腕を掴んでそのまま大地の体を強く揺らした。
『……んん…』
だけど大地は、そのまま朝まで目を覚さなかった。



