「俺も、今似たようなこと思ってた」
「えっ?本当?」
予想外の言葉に驚いて、隣を歩く大地の顔を見上げた。
「うん。娘二人は可愛いし?亜紀も今日は綺麗だし?」
「今日は?」
おどけた顔でわざとらしく笑う横顔に、じろっと睨みを利かせながらすかさず脇腹をパンチする。
「いった…なかなか強かったぞ?今の」
「でしょ、強めに突っ込んどいたから」
「ははっ、なんだよそれ」
「だって今日は、とか言うから」
「ごめんごめん、いつも綺麗ですよー亜紀ちゃん」
そう言いながらヘラっと笑った大地を見て、私は二度目のパンチをくらわせようと拳を握りしめた。
するとそれに気付いた大地は慌てた様子で私の手を取ると、何故かそのまま包み込むようにそっと手を繋いできた。



