マリッジリング〜絶対に、渡さない〜


きっと昨日は、帰宅後リュウ君を病院に連れて行ったりで、いつもよりも疲れていたはずで。

それなのに、あんな風に言い合いになったせいで…こんなところで寝かせてしまった。

とはいえ、やっぱり昨日の行動は納得がいかないし。
でも、一方的にもういい!と話を終わらせたことは間違っていたかもしれないし…。

複雑な思いが交錯して、頭の中が整理できない。

ねぇ、大地。
近くにいるのに…どうして大地が遠くなっていくような気がするのかな。

寝ている横顔を見つめながら、心の中で問いかける。

ねぇ、大地。
私のこと…ちゃんと好きだよね?

結婚して十年。
ついこの間は、あんなに幸せだったんだもん。

ほんの数日で、その幸せが変わるはずなんてないよね?

首元のネックレスに触れ、祈るような想いで大地を見つめていた。


『…亜紀』

するとその瞬間、私の声が届いたかのように大地の瞼が開き、私の名前を口にした。