マリッジリング〜絶対に、渡さない〜


『で、いいよって言ったんだけど、クリーニングに出して返すって言われちゃって』

『…だよ』

『えっ?』

『変だよって言ったの』


そう言いながらテレビのリモコンを手にすると、電源を切って静かに立ち上がった。

リビングは、一瞬でしんとした空気に包まれていく。


『え?変ってどういう…』

『何でわからないの?』

『いや、何で怒っ…』

『距離感が近過ぎない?大地はリュウ君のパパ?違うでしょ?』

『何言ってるんだよ、違うに決まってるだろ』


向き合った大地は、私の目を真っ直ぐに見つめている。

違うに決まってる?
そんなのわかってるよ。
だけど、どんどん近付いていくような、そんな大地と彼女の距離が怖くて。


『こんなこと言いたくないけど、今後はもう…あの親子には…関わらないでくれないかな』


私は自分の気持ちを、素直に吐き出した。