『いい、のか?』
『何が?』
『いや、じゃあ…行ってくるよ』
『うん。気をつけてね』
動揺する心とは裏腹に、平然とした顔で大地を見送った。
だけど玄関のドアを閉めた途端、心の声が次々と漏れ出した。
『…いいのか、って何?じゃあ行ってくるよ、って何?普通行く?だいたい頼るところ間違ってるよね?』
静かな廊下に、私の声が虚しく響く。
『っていうか、わざわざ自転車で行くとかじゃなくて、タクシー呼べばいいじゃない。あぁ…それも経済的な問題で無理ってこと?サッカーボールだって半分大地がお金出してたし?いや、そもそもそれもおかしいでしょ』
ぶつぶつ言いながら、苛立ちを吐き出していたその時。
『…ママ?』
すぐ後ろで亜実の声がして、私はくるっと振り返った。



